真言宗豊山派の季刊誌「光明」第213号より、『木魚のお話し』をご紹介します。
葬儀や法事などで目にする木魚。身近な仏具のひとつです。
木の魚?
木魚の始まりは、魚板(ぎょばん)と呼ばれる魚の形をした木の板だったと言われています。やがて形がかわり、現在のような丸くて中が空洞になりました。魚をモチーフにしているのは、魚は寝ているときでも目を閉じないことから、修行者が寝る間も惜しんで精進するようにという戒めの意味が込められているとのことです。
なぜ使うの?
お経を唱えるとき、早くなったり遅くなったりしまいがちです。むかし、高野山の僧侶が木魚にあわせてお経を唱えたところ、上手く合うようになりました。それ以来、木魚に合わせてお経を唱えるようになったと言われています。
いんげんさん
木魚を伝えたのは、江戸時代初期に来日した明の僧・隠元禅師だと言われています。禅師は他にも明朝体という書体や精進料理、煎茶を広めました。インゲン豆も伝えたと言われており、隠元禅師が伝えた豆なのでインゲン豆と名付けられたとか。
お寺だけじゃない

江戸中期になると、木魚は歌舞伎の効果音として使われるようになりました。今ではオーケストラでも楽器として使用されています。木魚のポクポクは、お寺だけでなく様々なところで活躍しています。